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私たちの誇る革新技術
バイオ法アクリルアミド   炭素繊維複合材料   気相酸化法によるメタクリル酸メチルの製造  
バイオ法アクリルアミド

世界初! 汎用化学品のバイオ法による生産


アクリルアミド生産菌の電子顕微鏡写真
アクリルアミド生産菌の電子顕微鏡写真

 1985年、当社(旧日東化学工業)は、微生物を用いて、非天然物アクリロニトリルからアクリルアミドの工業生産を開始しました。これは、世界で初めて、バイオ法による汎用化学品の工業生産に成功したものです。
 1976年「アクリルニトリルの分解をアクリルアミドでストップして大量蓄積する菌は、いないのか?」という考えからこの研究開発は始まりました。当時は公害問題が深刻な折、排水中の有機化合物を微生物処理する技術開発が盛んに行われており、アクリルニトリルを僅かに分解する細菌は知られていました。この時点では既にアクリルアミド生産法として極めて優れた銅触媒法が工業化されていましたが、それをコスト面・品質面で上回る微生物が存在するか否か、全く確証がないまま、チャレンジしたのです。
 そして、有用微生物の発見、精密培養法の確立、コンパクトなプロセスの開発、超高分子量まで可能なアクリルアミド・モノマー品質の達成など、多くの技術的難関を突破して、9年後に工業化に至りました。

化学合成を超えたバイオ法

 当社は、工業化した以降も更に研究開発を続け、京都大学の発見したRhodococcus rhodochrous J-1菌株の使用、遺伝子工学による高性能菌株の開発、プロセスの更なるコンパクト化などを行い、従来の化学合成を超えたプロセスを確立しました。(図参照)  現在、世界のアクリルアミド生産能力は約60万トンですが、当社バイオ法によるものが17万トン、当社技術に触発された他社のバイオ法が10万トンとなっています。最近10年間に建設された新規プラントは基本的にバイオ法のみであり、当社技術がプロセス・イノベーションを巻き起こしたと言えます。

更に、高性能な酵素〜バイオミメティック酵素へと夢は続く


 当社のバイオ法アクリルアミド工場は、当初、年間生産能力は4,000トンでしたが、上記の技術改良により、現在、同一リアクターのままで30,000トン生産できるように進化しています。
 しかしながら、バイオ触媒のポテンシャルは、まだまだ大きいと考えられます。蛋白工学による高耐熱性・高生産性の酵素、そして、酵素活性中心を模倣した人工酵素、このような技術革新により、更なる飛躍の夢が続いています。

  有機・無機ハイブリッド系ハードコートの耐擦傷性
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炭素繊維複合材料

 PAN系炭素繊維が開発されて以来、半世紀近くを経過し、この間、スポーツレジャー、航空機分野をはじめ、一般産業分野を中心に着実に拡大し、その需要は2012年には40,000トン、2015年には70,000トンを超えると予想されています。現在、PAN系炭素繊維は日本3社、欧米4社、台湾1社が商業生産しており、2006年全世界PAN系炭素繊維の公称生産能力は39,000トン、2008年には50,000トンを超え、まさに世界を舞台に新たな用途開拓、事業拡大に向けた熾烈な競争が繰り広げられています。

世界有数の総合アクリル繊維メーカー三菱レイヨンの炭素繊維“パイロフィル®”

  当社の炭素繊維の研究は、1960年代後半に炭素繊維の原料となるアクリル原糸(プリカーサー)の基礎探索研究からスタートしました。特に、炭素繊維の性能はプリカーサーに大きく依存し、ポリマー組成、重合・紡糸技術、使用する溶剤等も各社で異なります。言い換えれば、プリカーサー技術そのものが炭素繊維の特徴、品質、そしてコストを大きく左右すると言っても過言ではありません。当社は、グループ会社に主原料のアクリロニトリルを保有する世界でも有数の総合アクリル繊維メーカーであり、そこで長年培われてきた生産技術、ノウハウに加えて、高性能炭素繊維用プリカーサーとして様々な技術改良、技術革新が行われて来ました。当社の炭素繊維パイロフィル®の製品群は、このプリカーサーとそれに適合した高生産性焼成技術によって支えられています。
多岐にわたる炭素繊維・複合材料の研究分野

 炭素繊維複合材料の研究分野は重合、紡糸、焼成、樹脂、界面、複合材料の成型加工技術と非常に多岐にわたります。特に、炭素繊維の研究開発においては、航空機分野での需要拡大が大きな推進力となり、繊維性能は過去に比べて飛躍的に向上しました。また航空機用材料開発では繊維自体の高性能化も然ることながら、マトリックス樹脂と界面の高性能化も重要な課題です。こうした高性能化により、航空機への炭素繊維複合材料の適用率は、機体あたりの重量換算で当初数%であったのに対し、ここ10年間で30%〜40%に達する量まで急速に拡大しています。
 炭素繊維の高性能化についてはミクロンサイズ、サブミクロンサイズ、更には今やナノサイズレベルの欠陥制御技術が必要となってきており、微小欠陥の発生、成長機構の解明等、物質の評価、解析技術の進歩も重要な成果をもたらしてきました。こうした解析技術の進歩に支えられ、炭素繊維の極限性能の追及は今後も続くでしょう。
 一方で、将来の自動車用途や風力発電翼といった大型市場への展開も視野に、炭素繊維の低コスト化の追求、用途に適した炭素繊維と樹脂の開発、生産性の高い成形加工技術の開発、リサイクル・システムの確立等も重要な課題となっています。

未知の可能性を秘めた炭素繊維・・・夢を現実にするのもそう遠くはない


 革命的な新素材の出現が産業社会を急進展させると言われるほど、高強度炭素繊維の開発は、工業技術の発展を支えてきた根幹の一つと言えます。工業製品における高性能要求が高強度材料の開発を促進する一方、そこで開発された高性能材料がそれまでにない新たな製品、市場を生み出す根源となります。今後も極限的な強度を有する工業製品を開発していく上で、炭素繊維は重要な位置付けにあることは間違いないと確信します。
 また、炭素繊維は複合材料として用いられる以外にも、燃料電池用ガス拡散膜や微生物固着機能を利用した水の浄化など、様々な用途開発が進められており、省エネ、地球環境問題でも社会に大きく貢献しています。
 これからは、単なる改良(Improvement)ではなく、創造的思考をベースとした革新(Innovation)が炭素繊維、或いはその複合材料の更なる発展のキーになると感じています。


炭素繊維協会のホームページhttp://www.carbonfiber.gr.jp/
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気相酸化法によるメタクリル酸メチルの製造

環境に優しいモノマー

 メタクリル酸メチル(MMA)は、透明性や耐候性が必要な看板・ディスプレイ・照明材料・自動車材料・光学材料・人工大理石などに用いられるメタクリル系樹脂、塩ビ樹脂の耐衝撃性や加工性改質剤の原料、各種高級エステルの原料として広範に使用されています。MMAはメタクリル樹脂の解重合によりリサイクルが可能であることから環境に優しいモノマーであり、将来の成長性が期待されています。


三菱レイヨンが世界で初めて気相酸化法の工業化に成功

 MMAの製造は、1937年ICIで商業化されたアセトンシアンヒドリン(ACH)法に始まります。1982年三菱レイヨンが世界で初めて気相酸化法を工業化するまで、ACH法が唯一の工業的製造法でした。気相酸化法の工業化を契機に製法転換の時代へ移行し、MMAは特殊化学品から汎用化学品に様変わりしています。
世界のMMA推定生産能力と製造法を図1に示しました。アジアでは気相酸化法が主流ですが、米州・欧州では依然としてACHを原料とする製造法です。


図1 世界のMMA生産能力(2001年)
図1 世界のMMA生産能力(2001年)

気相酸化法の開発

 気相酸化法はイソブチレン、t-ブチルアルコール(TBA)もしくはメチル-t-ブチルエーテルを原料とし、C4の炭素骨格を分解することなくそのまま利用できる製造法(図2)です。原料のイソブチレンは、ナフサ分解のスペントBBや石油精製でのFCCのC4留分を用いることができます。


図2 気相酸化法
図2 気相酸化法

 原料を部分酸化してメタクロレイン(MAL)とする前段酸化工程と、MALを部分酸化してメタクリル酸(MAA)とする後段酸化工程からなるプロセスです。


難易度の高い触媒の開発

本プロセスの鍵は高性能の触媒開発です。

(1)前段酸化工程

 気相酸化により、イソブチレンから不飽和アルデヒドであるMALを生成する工程です。プロピレンからのアクロレイン製造と同様、モリブデン・ビスマス系複合酸化物触媒を使用します。プロピレンとイソブチレンではオレフィンの塩基性が異なるため、触媒の有する酸−塩基特性を組成を変えることにより微妙に調整しています。

(2)後段酸化工程

 気相酸化により、MALから不飽和カルボン酸であるMAAを生成する工程です。気相酸化プロセスの中でもっとも力をいれて開発した触媒を使用する工程です。類似の反応であるアクロレインからのアクリル酸製造ではモリブデン・バナジウム系の複合酸化物触媒が用いられています。この触媒をMALの酸化に応用すると反応成績が極端に劣ります。多くの優秀な研究員を投入して長期にわたり莫大な数の触媒の絨毯爆撃的な試行錯誤検討を行いました。その結果、触媒の酸量や酸強度が重要なファクターであることを突き止め、ヘテロポリ酸塩触媒を見出すに至りました。当時、ヘテロポリ酸は日本で積極的に研究されていた触媒であり、その後、気相や液相での酸触媒反応で脚光を浴び、今では多くの触媒反応に利用されています。
 アクロレインと異なり、ただ一つの枝分かれしたメチル基があるだけで反応の制御に困難を極め、触媒開発のほとんどは後段触媒の開発に費やされました。


究極の触媒、プロセス目指して

 MMAの製造プロセスで未だ圧倒的優位に立てるプロセスがなく、かつ、将来の原料事情が不透明であることが、多くの製造法が混在する理由となっています。
 三菱レイヨンでは、触媒の性能をより一層向上させ、副生物が少なくエネルギー消費量の少ないクリーンな気相酸化プロセスを目指して、究極の触媒、プロセス開発研究に精力的に取り組んでいます。

 


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