
コーティング用樹脂の開発を行っています。一般の方が意識することはないかもしれませんが、皆さんの身の回りのある物でコーティング材が塗られていないものは、探すのが難しいくらいです。色を付ける、ツヤを出す、あるいは、傷や指紋がつきにくくするためにも、コーティング材は使われます。自動車や家電製品など様々な用途がある中で、現在私が担当しているのは、Tシャツのプリントなどに使用するテキスタイルインク用アクリルパウダーの開発です。
機能化学品開発センターでは、営業と一緒に顧客を訪問、ニーズを聞き出し、サンプル評価をもらいながら製品を開発、生産技術に引き継ぐまでを担当しています。具体的なニーズとしては、伸びの良さや柔軟性、インクの貯蔵安定性などが多く寄せられますが、材料面からの環境対応も求められます。また、具体的なニーズになる前の「ウォンツ」を探り、応えていくことも必要ですが、その開発プロセスはさらに難易度の高いものになります。いずれにせよ、お客様の声を直接聞き、どんな製品が求められているのかを肌で感じながら開発を進められるのが、この仕事の面白さ。ニーズをカタチにする開発プロセスは大変なことの連続ですが、ニーズに合った製品を他社に先駆けて開発できれば、確実に世の中で利用されるわけですから、とてもやりがいがあります。
ただ、私たちが知りたいニーズや情報を、お客様は簡単に提供してくれるわけではありません。そのため、打ち合せなどで伺った際には、さりげなく周辺情報を聞き出すよう心がけています。また、環境対応や溶剤に対する規制強化などは新製品を開発・提案するチャンスなので、日頃からそうした情報にも気を配っています。
機能化学品のお客様は海外が中心です。
先日、私は初めての海外出張で台湾のお客様を訪問しました。2泊3日で数社を回る強行軍でしたが、海外のお客様と直接話をする機会はめったにないので、とても貴重な経験です。どんな質問にも的確に応えられるように英語の資料を用意し、準備万端で打ち合せに望んだつもりでした。ところが、最初の訪問先でいきなり質問攻めに会い、面食らってしまいました。営業や商社の方が同行してくれているとはいえ、技術担当は私一人。これに対して先方は社長以下5人の担当者が臨席し、いっせいにしゃべり出す勢いです。通訳の方は誰の言葉から伝えていいのか困惑するし、紹介していた2つの樹脂のうちどちらが話題になっているのかもわからなくなる始末。その場は商社の方がうまくまとめてくださいましたが、私にとっては苦い海外デビューとなりました。
反省する一方で、これは私にとってモチベーションアップにつながる経験でもあります。それだけ多くの質問が飛び出すということは、開発した製品サンプルに触れ、関心を持ってくれていた証拠。国内のお客様とは電話などで頻繁に情報を交換していますが、海外のお客様はどうしても「遠い存在」になりがちでした。ところが実際には、こちらが圧倒されるほど私たちの製品に期待し、技術的サポートを必要としているのです。開発に成功すれば確実に利用してもらえるのですから、私ももっと頑張らなくては、と思いました。

- 子供の頃から理科が大好きだったのですが、大学の研究室で有機合成の実験を続けるうちに「具体的に人の役に立つことがしたい」と考えるようになりました。化学系の立場でモノ作りに携わりたい、という思いから、素材メーカーを中心に就職活動を展開。面接などでていねいに話を聞いてくれ、「こんな人が上司だったらいいな」と感じられたことから、三菱レイヨンに入社を決めました。











